ガソリン補助金「ゼロ円」へ――私たちの生活はどう変わる?

晴れた日に日本のガソリンスタンドで給油中の車と、価格が下がっていることを示す価格表示板の様子 ライフスタイル

文:みく(21歳・ルポライター)

朝、車のキーを回す前に給油計を見るようになった。先週末、久々に満タン給油したときの衝撃が忘れられない。「えっ、こんなに高くなってるの?」

2025年4月、日本の「ガソリン補助金制度」がついに「ゼロ円」になった。私が大学生だった2022年から始まったこの制度が、今、大きな転換点を迎えている。単なる数字の変化じゃない。これは私たち、特に地方に住む若者の生活を直撃する問題だ。

地方暮らしの若者として感じる「補助金ゼロ」の衝撃

田舎の静かなガソリンスタンドで、補助金ゼロの表示を見て不安そうに佇む若者の様子。背景には田園と曇り空が広がり、地方経済の不安を象徴している。

福島県の実家から東京に出てきて2年目。先日、実家に帰省したとき、父が珍しく憂鬱そうだった。「補助金がなくなって、通勤費が月5000円も増えた」と。

農家を営む祖父も「軽トラの燃料代が上がって、野菜の出荷コストが厳しい」とぼやいていた。田舎では車は贅沢品じゃない。生きるための必需品なんだ。

そもそも「ガソリン補助金」って何だったの?

補助金の仕組みについて改めて調べてみた。2022年1月、原油価格の高騰を受けて導入されたこの制度。「燃料油価格激変緩和補助金制度」という正式名称だけど、みんな「ガソリン補助金」と呼んでいた。

私が理解した限りでは:

  • 対象は石油元売り会社
  • ガソリン価格が1リットル185円を超えたら補助が出る
  • 消費者に直接ではなく、流通段階で補助

大学の経済学の授業で習った「間接的な価格調整」というやつだけど、正直、初めて聞いたときは「なんで直接、運転する私たちに給付しないの?」と思ったものだ。

なぜ今「ゼロ円」になったの?

私の先輩記者に教えてもらった情報と、自分で調べたことをまとめると:

  1. 国際原油価格が下がってきた
    アメリカのシェールオイル増産や、中東情勢の安定化が主な理由らしい。WTI原油価格は今、70ドル台前半で推移している。
  2. 円高になってきた
    2024年の円安から一転、今年は円高傾向に。1ドル135円前後まで戻ってきたことで、輸入原油の価格が下がった。
  3. そもそも基準価格を下回った
    政府が設定した185円/Lという基準を、今の予測価格が下回ったため、制度上、補助金がゼロになった。

単純に言えば「原油が安くなったから補助金はいらない」という理屈なんだけど、実際の生活感覚としては「なんか前より高くなったよね?」という声をよく耳にする。本当に補助がいらないほど状況は改善されているのだろうか?

私が見た「現場の声」

この記事を書くにあたって、地元のガソリンスタンドでアルバイトをしている大学の後輩と話した。「補助金がなくなって、お客さんの反応はどう?」と聞くと:

「みくさん、おじいちゃんとかおばあちゃんが特に困ってるよ。年金暮らしの人は『遠出を控えるしかない』って言ってた。あと、配達の仕事してる人とかも結構深刻そう」

また、SNSで「#ガソリン補助金ゼロ」で検索すると、こんな声があふれていた:

「子どもの習い事の送迎、どうしよう…」
「田舎暮らし、車なしじゃ無理なのに…」
「デリバリーのバイトしてるけど、これ赤字になるかも」

数字で見る!価格と補助金の関係

ガソリン価格と補助金額の推移(2023〜2025年)
年月 店頭ガソリン価格(円/L) 補助金額(円/L)
2023年1月 162 30
2023年4月 168 28
2023年7月 174 25
2023年10月 178 20
2024年1月 185 15
2024年4月 180 10
2024年7月 175 8
2024年10月 173 5
2025年1月 171 3
2025年4月 170 0



ガソリン補助金はどこへ?価格と支援の推移を徹底比較


資源エネルギー庁のデータを元に、実際のガソリン価格と補助金額の推移を調べてみた。これを見ると驚くのは、2023年初頭は補助金が最大30円/Lもあったのに、徐々に減って今回ついにゼロになったこと。

でも気になるのは、補助金が減っていった2024年後半から、なぜか店頭価格がそれほど下がっていないこと。本来なら原油安と円高で大幅に下がってもいいはずなのに…。ここには何か別の要因があるのではないかと疑問に思う。

私たちの生活はどう変わる?

車を使う頻度が高い人ほど影響は大きいけど、間接的には私たち全員の生活に響く。例えば:

「スーパーの野菜、先週より10円上がってる…」と母が電話で嘆いていた。これって単なる季節変動?それとも物流コストの上昇?

私の友人で居酒屋でバイトしてる子は「宅配業者の配送料が上がって、仕入れ価格に響いてる」と言っていた。つまり、私たちが直接ガソリンを買わなくても、様々な形で影響は出てくるんだ。

補助金制度、良かった?悪かった?

正直、賛否両論ある。

大学の経済学の先生は「市場の自然な調整を歪める」と批判的だった。一方で、地元のタクシー運転手さんは「あれがなかったら会社が潰れてた」と話していた。

私が思うに、「応急処置」としては意味があったと思う。でも、根本的な解決ではない。3年間で1兆円超える税金を使った補助金…その財源はどこから?結局は私たち若い世代の将来の負担になるんじゃないかという不安もある。

みく
みく

「助かった人もいれば、先送りされたツケもある」って感じだよね…。一時しのぎじゃなくて、ちゃんと未来に繋がる形にしてほしい…!

これからどうすればいい?

補助金に頼らない社会にするために、いくつかのアイデアを考えてみた:

  1. 今すぐできること
    私は最近「gogo.gs」というアプリを使ってガソリン価格を比較するようになった。地域によって10円以上違うことも!あと、友達とは車の相乗りを積極的にするようになった。
  2. 中期的に考えたいこと
    実は今、電気自動車を真剣に検討している。頭金を貯めている最中。初期投資は高いけど、長い目で見ればガソリン代の節約になる。特に田舎暮らしならソーラーパネルとの組み合わせが理想的かも。
  3. 社会全体の課題として
    取材を通じて感じたのは、やはり「脱炭素」と「地域交通」の問題は切り離せないということ。地方の公共交通機関を充実させることが、結果的にエネルギー問題の解決にもつながるはず。

最後に——私たちの暮らしの転換点

このガソリン補助金「ゼロ円」というニュースは、単なる経済ニュースを超えた意味を持つと思う。「安い石油に頼る生活」からの脱却を、否応なく迫られているのかもしれない。

私は以前、「環境問題は他人事」と思っていた。でも、このガソリン価格問題を通じて、エネルギーと私たちの日常が密接につながっていることを実感した。

ちょっと大げさかもしれないけど、これって私たち若い世代の生き方そのものを問われているような気がする。「便利さ」と「持続可能性」をどうバランスさせていくか。

ガソリン補助金がなくなった今こそ、私たちの移動や暮らし方を見直すチャンスなのかもしれない。

(あ、ちなみに今週末、実家に帰省するの諦めました…ガソリン代が痛すぎて。Zoomで家族会議することにしました。これも時代の変化なのかな)​​​​​​​​​​​​​​​​

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