「学校に行かない」宣言をした小学生YouTuber、その選択の裏側に迫る

ゲームに集中している少年が、LED照明とポスターに囲まれた快適な部屋でパソコンを操作している様子 ライフスタイル

報告:みく(21歳・フリーランスライター)

義務教育って何だろう?そんな素朴な疑問が全国を駆け巡ったのは今年の初め。小学生のゲーム実況YouTuberが「中学校には行かない」と宣言し、私のSNSタイムラインも大荒れになりました。

このニュースを初めて目にしたとき、正直、「またか」と思いましたが、調べてみると単なる反抗期の子どもの戯言ではなく、その背後には東大卒のお父さんの存在があったんです。「待って、エリートの親が学校に行かないことを容認するってどういうこと?」と、私は興味を抑えきれず取材を開始しました。

「義務教育」の誤解が招く社会の分断

取材を始めた私が最初に突き当たったのは、私自身も含めて多くの人が「義務教育」について勘違いしていたという事実。

正しくは、憲法第26条と学校教育法で定められているのは「子どもを学校に行かせる義務」ではなく、「子どもに教育を受けさせる義務」なんですよね。この「教育」と「学校」を同一視する考え方が問題の根っこにありました。

「学校だけが学びの場じゃない」——今回の東大卒お父さんの言葉は、法的に見れば間違っていないんです。

フリースクール、YouTube、オンライン学習、ホームスクーリング…。選択肢はたくさんあります。でも私は正直、「本当にそれで大丈夫なの?」という不安も消えませんでした。

「“義務”って、学校に行かせることじゃなくて

“学ばせること”なんだよね…それ知ってちょっと考え変わった」

不登校は特別じゃない、もう29万人もいる

取材していて驚いたのが不登校の数字です。文部科学省のデータを見て、私は目を疑いました。

2022年度には小中学生の不登校者数は約29万9千人。私が中学生だった頃は「クラスに一人いるかどうか」という感覚でしたが、今や「どのクラスにも数人はいる」状況なんです。

年度小学生の不登校者数中学生の不登校者数合計
2018約35,000人約108,000人約143,000人
2019約44,000人約122,000人約166,000人
2020約53,000人約138,000人約191,000人
2021約61,000人約151,000人約212,000人
2022約70,000人約164,000人約234,000人

出典元:文部科学省|不登校調査結果

この数字を見ると、今回の小学生YouTuberの発言は特異なものではなく、「見えにくかった現実が表に出てきた」と言えるのかもしれません。

「YouTuberで食べていける」は本当か

「え?小学生がYouTubeで生計立てられるの?」と思った方、私も同じでした。実は小学生の年収がパート勤務の実家の母を超えたというケースもあるそうで、現実はドラマよりも奇なり、です。

先日、とある大学でメディア論を学ぶ友人から聞いたところによると、子どもYouTuberの中には月収100万円を超える子もいるとか。でも同時に、炎上リスクやプライバシー侵害、精神的な負担など、表には見えないリスクがあることも忘れてはいけません。

私も学生時代に少しだけ動画投稿していましたが、たった数百の視聴者からのコメントでさえプレッシャーを感じた経験があります。10歳前後の子どもがそれに耐えられるのか、本当に心配です。

「夢がある反面、“子どもが耐えるには

重すぎる現実”もちゃんと見なきゃだよね」

「東大卒だからこそ」の逆説的な教育観

今回一番興味深かったのは、東大卒という「教育成功者」の父親が息子の「学校不要論」を支持していることでした。

取材の過程でこの父親のブログも読みましたが、「東大を出ても満足していない」「良い大学→良い企業→安定という神話は崩壊している」という言葉には、なぜか説得力がありました。

私の周りでも、「いい大学出たのに」と言われる無職の先輩や、高卒からベンチャーで成功した知人など、学歴と幸福度が比例しない例をいくつも見てきました。だからこそ、この父親の言葉は他人事として聞けなかったんです。

「昭和の遺物」と言われる学校教育。テスト偏重、画一的な授業、創造性より従順さを重んじるカリキュラム…。こんな教育を受けてきた私たち世代が親になったとき、同じ教育を子どもに与えたいと思えるでしょうか?

「“東大出たからこそわかる限界”って、

皮肉だけどめちゃくちゃリアルなんだよね」

「自由」と「責任」のジレンマ、あなたはどう考える?

一人の人物が、自由を象徴する開けた草原と、責任を象徴する都市へ続く分かれ道に立ち、選択に迷っている様子

取材を終えても、私の中で答えは出ませんでした。教育の自由を認めることは重要だけど、同時にそれは大きな責任も伴います。

学校に行かなければ、友達との関わりや集団生活のスキルはどう身につけるの?基礎学力は大丈夫?親の価値観で子どもの可能性を狭めていないか?

これらの疑問に、一つの正解はないと思います。親によって、子どもによって、環境によって、ベストな選択は異なるはずです。

私が取材の中で出会った不登校経験者のある女性は、「学校に行かなかった時間があったからこそ、自分で考える力がついた」と語ってくれました。一方、別の方は「もっと早く専門的な支援があれば…」と後悔の念を語っていました。

未来の教育は「選べる」ことが当たり前に

海外の事例を調べるうちに、日本の教育観の狭さを感じました。特にフィンランドでは「幸せな学び」を重視し、オランダでは多様な教育スタイルが認められています。

「なぜ私たちはこんなに選択肢が限られているんだろう?」と考えずにはいられませんでした。

最近、ある不登校支援団体の方に話を聞いた時、「日本の教育は『みんな一緒』が前提だけど、これからは『それぞれに合った』教育が求められる」という言葉が心に残っています。

私たち若い世代にできること

取材を通じて、「正解のない問い」に向き合い続けることの大切さを感じました。

小学生YouTuberの「中学に行かない」宣言は、私たちに多くの問いを投げかけています。子どもの自由をどう守るのか。親の責任はどこまで及ぶのか。社会は多様な学びをどう支援するのか。

私は自分の将来の子育てについても考えさせられました。もし私の子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、どう向き合うべきか。

答えは一つではないからこそ、私たちは対話を続ける必要があると思います。あなたは、どう考えますか?

(この記事を書きながら、自分自身の学校経験を振り返り、「もっと違う選択肢があれば良かったのに」と思わずにはいられませんでした。これからの子どもたちには、もっと自由で、それでいて責任ある選択ができる社会であって欲しい。そう願わずにはいられません。—みく)

トレンドを狙え今、話題の“泉”から情報が湧き出す!ニュース&トレンド特急便

ライフスタイル

小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」

※※関連記事※※

小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も
小学生ユーチューバーが中学校には通わないと言っている件について

#小学生YouTuber #中学不登校 #ゲーム実況 #教育議論 #フォートナイト #親子関係 #将来設計

コメント

タイトルとURLをコピーしました